2020年2月19日(水)

日常のできごと

街の鍛冶屋さん

 鍛冶屋さんという職業をご存じだろうか?ひと昔前、街には必ず鍛冶屋さんがいて、包丁や鍋など道具を作ったり修理をしてくれた。モノを修理しながら大切に使う時代から「買ったほうが安く」なり修理需要は減り、モノそのものも大量生産となることで街の鍛冶屋さんはいなくなった。

 毎週配信される中小企業庁のメルマガ(e-中小企業ネットマガジン)で、このような時代背景のなか廃業を目前にした街の鍛冶屋さんに、畑違いの息子が、脱サラし職人となった記事があった。営む場所が漁村ということもあり、貝をむく等に適した道具を個々人の作業にひとつひとつ合わせて作り、切れなくなった刃物を研ぐために、巡回しつつ引き取り納品を行うことが評判を呼び、大人気となっているそうだ。もちろん若い経営者らしくネットでも販売や研ぎを受けている。

 専業保険代理店も街の保険屋さんとして、保険だけに関わらず周辺の情報・知識、横のネットワークを生かし、よろず相談屋さんとして、あるいは弁護士・司法書士・税理士などの各専門家や生活に纏わる業者様へお客様を橋渡しすることで、とても喜んでいただけることが多い。この鍛冶屋さんのあり方は私たちがあろうとしている姿ではないかと思う。

 全国チェーンや、多くの募集人が在籍する代理店さん、ネット通販さん、自動車販売店さんのように商品付帯で販売を行うなど様々なチャネルがあるなか、地域で鍛冶屋さん的な代理店として評価されたいと彼の活躍を読んで思った。そして明治から続くこの鍛冶屋さんの立派な四代目は、事業承継で苦しむ中小企業の明るい話題でもある。(て)